パワーリーディング Vol.5


※ パワーリーディング「超」読み聞かせについて5回に渡ってお話ししている動画です。音が出せない環境にいる方や文字で読みたいという方は、下の書き起こしをお読み下さい。

パワーリーディング Vol.5

パワーリーディングの話は今回が最終回となります。パワーリーディングのサマリーについては、最後の方でお話しさせていただきます。また、今回は日本の子どもたちの教育について、私が大切だと考えていることを凝縮してお話しさせていただこうと思っています。少々長くなりますが、どうぞ最後までよろしくお付き合いください。

私の友人に小児科のお医者さんがいます。彼女はとても教育熱心で、会うといつも大学受験を控えた娘さんの勉強の話をしています。しかし、先日はちょっと暗いトーンでお嬢さんの話をしていました。「エミリーには読解力がないって先生から言われちゃったのよ。」成績はテキサスでトップ8%に入っているそうなのですが、エッセイで困るだろうということでした。トップ8%と言いますと、100人のうち上位から8人に入っているということです。でも大学に入るためのエッセイ、または大学受験に必要なSATというテストに出てくる、与えられたテーマに沿って決められた時間内で、即興でエッセイを書かなくてはいけない部分でひっかかるのではないかということでした。

そしてこう続けました。「小さい頃から本を読んであげていなかったのがいけなかったのかしら」と。私はその時、彼女の悩みに対して、実は何のアドバイスもしてあげられなかったんです。ただ単に彼女の話しを聞いてあげるだけでした。ちなみに友人は、私が読み聞かせについて人様にこのように話していることは知りません。

読書大人になっても脳は発達するという観点で見れば、ティーンエイジャーから本をたくさん読むようになることで、または大人になってからたくさん本を読むようになることで、もちろん読解力は養われることでしょう。でも、もうじき試験という段階で、今から本を読み始めても、付け焼き刃で抽象的思考能力が育つかといえば、それはかなり困難なことでしょう。

うちの息子が小学校1年生の頃でした。たまに遊んでいた同い年の男の子が家にきて、息子の部屋で2人で遊んでいました。私は小さな子どもたちがいったいどんな会話をしているのか興味があって聞き耳をたてていました。すると、息子は共通の話題を見つけるために、いくつか会話のきっかけとなる話題を投げかけていたようでした。たとえば、アーサー王が剣を抜いたところを真似して、息子がプラスチックの刀を振りながら話をする、という感じで。しかし、相手の子はうちの息子が何の話をしているのか理解できていないようでした。そういうことが何度かあって、息子はお友達に話題を投げかけるのを諦めて、ただ単におもちゃで遊び始めました。

私がこれを見て感じたのは(自分自身の立場はむしろ自分の息子の側ではなくて息子の友達の位置にいました)、世の中はなんてアンフェアなんだろうなということでした。7歳くらいの子どもであっても親に教育を受けている子と、そうでない子の差は歴然としています。小学校1年生ですでに大きな差がでるということは、ティーンエイジャーなるまでに、親と一緒に本を媒体として抽象的思考や知識を養ってこなかった場合、いったいどれだけの差がでるのでしょうか。これは私が英語本を始める決心を固めたひとつの出来事でもありました。

義務教育によって教育はどの子どもにでも平等に与えられていると、一般的には考えられるかもしれませんが、人間の一生を決めるとても大切な時期は、義務教育が始まる前の、まだ子どもが小さい頃の家庭での教育ではないでしょうか。しかし、家庭で教育されているか否かのその差は、きっと学力テストなどでは測れるものではないと思うんですね。ちなみにハーバード大学の心理学研究所の所長であったエドウィン・ボーリングによりますと「知能とは知能テストで測ったものである」ということでした。学力をそれに当てはめてみますと「学力とは学力テストではかったものである」となります。

では知性は?スタンフォード・ビネー法と言うIQテストを開発した、主にギフテッド教育や英才時教育に取り組んでいた教育心理学者のルイス・ターマンは「知性とは抽象的思考を遂行する能力」と述べました。「知性=抽象的思考」だとして、では、抽象的思考の反対は何でしょう。それは、具体的にしか考えられないということではないでしょうかか。つまり見たものを見たそのまましか受け取れないということです。

アインシュタインは壮大な抽象的イメージを抱いたがゆえに、それを実証するための研究をしました。頭が良いということは、思考を形にできるツールとして学力テストで測れるような、たとえば数学や物理という言語を駆使できるだけでなく、高度な抽象的な思考能力を兼ね備えているということではないでしょうか。といっても、抽象的思考はもちろん天才に限ったものではなく、普通の人達でも抽象的思考能力があるかどうか、それとも見たままの具体的なことで、いつも思考が止まってしまっているかどうかによって、社会の中での生き方も変わってくるかもしれません。

たとえば、学力は優れていても抽象的思考能力が低い場合、学校の成績が良くても性能の良いエンジンやトランスミッションを持つ車のようになるだけではないでしょうか。しかし、その車を「何に」「どう」使うか、その車で「どこに行く」のか、その車で「何を成し遂げるのか」を決めるのは、抽象的思考能力が高い人達でしょう。ですから、一生懸命テストで測れるような具体的知能の教育だけしても、性能の良い車を生産するようなもので、ちょっと怖いかもしれませんが、もしかしたらその車は、他の頭の良い誰かに使われることになるかもしれないのです。多くの日本人は、そのような教育を受けてきたかも知れません。第二次世界大戦後の日本の教育は、良い性能の車を作ることではあっても、抽象的思考能力をそれらの車に搭載はしてこなかったかもしれません。

では、頭が良い子とはどのような子なのでしょう。抽象的思考ができる子は森全体、そして森の中に何があるのかを見ることができるのではないでしょうか。しかし、具体的な思考だけであれば、森全体ではなくて木や葉っぱを見ることになります。その場合、優先順位をつけることが困難になります。全体像が見えて初めて、いま何をすべきかという優先順位や賢い選択ができるのだと思います。このような能力は、勉強することにおいてもとても重要です。賢い子は何をするべきか正しい優先順位をつけ、そして今やるべきことに集中する力があると考えます。パワーリーディンクでは、そのような能力を養うことができます。

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学びの方法には、オーディトリー(聴覚)、ビジュアル(視覚)、キネステティック(体感覚)がありますが、学校の勉強で学力に反映するのは、主に(他の能力が必要ではないということではなくて)オーディとリーの能力だと考えます。体験型やビジュアルイメージを使った授業は増えているかもしれませんが、実際のところ、先生の話を聴いて学ぶことの方が多いと思うのです。読み聞かせや音読をもし、長年続けていたとしたら、オーディトリーの能力は自然と身につくことが容易に想像できませんか?

つまり、読み聞かせをしてもらっている時は、耳でいつも聞いているわけです。耳で聞きながら、自分の頭の中でイメージを作って想像しているのです。ここで、牛を持ち上げた男性の話をいま一度、思い返してみて下さい。耳で聞いてイメージをクリエイトするという脳のエクササイズを小さい頃から、まるで筋トレをするように毎日少しずつ行っていたら、自ずと想像力やイメージする力、抽象的思考能力が養われると考えて間違いないと思いませんか。これの逆に、考えたり創造したりする前にイメージを与えられるテレビなどがあげられます。(テレビはうまく利用さえできればツールとして使うのには悪くないかもしれません)

さて、冒頭の話しに戻りますが、友人がお嬢さんに読み聞かせをしなかったのは、私には無意識もしくは意識的に、実は彼女が選択したことでもあると思えるのです。彼女は、本を子どもに読んであげることは良いことだということを知らなかったわけではないと思います。ただ、知っていたけれども深く知らなかったがために、それほど重要なことだとは思わっていなかった。故にやってこなかった。もしくは知っていたけれども、いつも他のことを優先させてきた。故にやらなかった。そのどちらであっても、ある意味やらないということを選択されたのでしょう。

小さいお子さんがいらっしゃるお母さんたちに気づいていただきたいのは、ちょっと厳しい話ではありますが、親の毎日の些細な選択によって、子どもの人生そのものが大きく変わることもあるということです。逆にあなたの小さな選択が、毎日の選択、今日の選択、今の選択が、もしかしたらお子さんの人生にとって、大きくプラスになる、そんなこともたくさんあると思いますよ。

donkeyそれでは、今回はロバの話をさせてください。ある日、ロバの鳴き声があまりにうるさいので、そのロバを飼っていた農夫が、声のする方に見に行くと、ロバが乾いた井戸に落ちていました。農夫は考えました。「どうせこの古い井戸は涸れていて使えないし、ロバも年をとっている。この際、ロバごと井戸を塞いでしまおう」と。そしてシャベルで土をすくい、ロバのいる井戸に投げ込みはじめました。ロバは上から土が投げられると、体についた土をブルブルっとはらいのけました。シャベルで土が投げ込まれるたびに、ロバは体を振って土をはらいのけました。するとどうでしょう。ロバの足下に段々と土が盛り上げられてきて、ロバは少しずつ少しずつ上にあがってきました。そしてとうとう、井戸から出ることができた、という話しです。

既にお話ししましたシマウマのように、絶体絶命という大きな問題を解決するのも、またこのロバのように少しずつ来る問題、来る問題を振り払って一歩一歩上に上がるのも、何かを継続する際にはたぶん、これは誰しもが洗礼を受けるように通らなければいけない道だと思います。毎日何かを選択する際には問題もつきものですよね。疲れていたり、他のことで頭がいっぱいだったり、些細なことですができない理由や、やりたくない理由がきっと誰にでも山ほどあります。

でも、問題をクリアすることで私たちには授けてもらえることがあります。それは叡智です。子育てを通じて親は学ばされ、問題が大きければ大きいほど、それを解決することができれば、深い知恵と叡智を(ここが大切です)「自分の力で」得ることができます。ですから、問題が浮上した時にはそこであきらめないで、どのように解決したら良いのか、どうぞ自分自身に問い続けて下さい。答えはきっと見つかると思います。

それではパワーリーディングについてのサマリーをお話します。パワーリーディングは、QQPの3つで校正されています。

Q:quantity(量)とは、何冊の本であるか、つまりマテリアルです。

2つ目のQ:quality(質)とは、ダイアロジック・リーディング、対話式読み聞かせというテクニックになります。これらは誰にでも理解されやすいでしょうし、誰にでもできることです。しかし、QQPのPが問題です。

P: persistent、粘り強く続ける持続性です。淡々と粘り強く続けるにはどうしたら良いのかについては、前回お話しておりますが、簡単にいま一度、繰り返させていただきます。 persistent、持続性の鍵となるのは、

  • マインド
    読み聞かせ音読、本について深い理解をもつこと
  • ボディ
    五感を使って体感すること
  • スピリット
    子どもへの教育の指針が私欲を超えた大義とつながっていること

ここまでお話を聞いて下さった方々は、具体的なマテリアルやテクニックについてだけ知りたいと思っていたわけではなくて、何か心に繋がる接点を感じていただけたために、こんなにも長い話を聞いて下さったことと思います。ここまで来てくださってありがとうございました。

最後に少々長い説明になりますが、パワーリーディングの私が考える意味についてお話させていただきたいと思います。地球に美しい自然が溢れ、人類が幸福に生きられますようにというような、人類全体にとってのミッションや願いに想いを馳せることができても、では、そうなるために自分は何をしたら良いのか、1人の母親にいったい何ができるというのでしょうか。願いや夢やビジョンが壮大であればあるほど、自分の手から離れた非現実的なことのように思えてしまうかもしれません。しかし、一人ひとりにできることはあると思います。私たちが実際にできる行動、私たち母親にしかできないことがあります。毎日の小さな積み重ねですが、多くの人々の小さな努力が世界を変えることもあるかもしれません。

読み聞かせで世界を変えることができるかもしれないと想像できますか?お母さんの手によって子どもたちに読み聞かせをすることで、社会が良くなるという希望は非現実的な妄想でしょうか。読み聞かせで社会が変わるというのは、全く可能性の無い完全に不可能なことでしょうか。

私たち母親には、将来、社会全体のムードを大きく変える力があると信じて、大勢の日本のお母さん達がこのような夢を共有し、その夢やビジョンのもとに将来の日本を背負っている子どもたちの教育のために「超」読み聞かせをするようになったらどうでしょう。お母さん達の手でといっても、間接的な手ではありますが「揺りかごを揺らす手が世界を握っている」それを現実的な形にできる可能性があると私は考えております。

私たちにできることはあります、少なくとも努力することはできます。と言っても安心してください。一人ひとりにできることは自分の子どもの教育です。外に出て行って何かしなさいということではないし、特別なことをする必要はなく、1人が自分の子どもという人間をしっかり教育するだけで十分なのではないでしょうか。とりあえずは、あなたが自分の子どもを家庭でしっかり教育するだけで良いと私は考えております。

パワーリーディングの「パワー」とは子育て、そして子どもの教育を通じて、間接的に社会に参加しているお母さん達一人ひとりの中に眠る力のことです。

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