習うより慣れろ!物理学者が教える子どもの教育法とは?


数多くの良い先生やメンターやインストラクターに、これまでの人生で出会えたことは幸運でした。ただ、54歳になるまで「師」と思える方には、残念ながら出会う機会がありませんでした。が、やっとこの年になって、一人だけ師と心から仰げる方に出会いました。物理学者のぺトロスキー富夫先生です。

私はぺトロスキー先生のお話しを聞く時には、先生が「あ・・」と仰るだけでも、「あ」の裏には深い意味があるのではないかと、先生が教えてくださることの質を下げずに、なるだけたくさんのことを吸収できるよう、全身でフォーカスして学ばせていただいています。

ペトロスキー富夫先生(Tomio Yamakoshi Petrosky)のご紹介
東京理科大学で博士号を取得後、イリヤ・プリゴジン(ノーベル化学賞受賞)に師事。東京大学など多くの研究所で客員教授・特認教授を歴任。現在は専門分野のみならず、様々な分野に渡り後進の育成に努めている。1995年、物理および化学ソルベー国際会議メトロポール100周年特別記念賞を受賞。

中学生になって成績が伸び悩む子どもたちに「算数の計算は得意なのに文章問題が苦手」という傾向があるのは、「論理的に考える力」が弱いのではないかという考察がありました。それに対し、私のFB(フェースブック)のコメントで、ペトロスキー先生が教えてくださったことがありました。

「学校の成績を伸ばすにはどうしたら良いのか」ということだけでなく、子育て・子どもの教育全般へのヒントとなりますので、小さなお子さんのお母さんもぜひ読んでみて下さい。


(以下ペトロフスキー先生より)

img_9044私は特に算数や数学では、何よりも先に機械的に規則を覚えさせるのが一番だと思います。小学校の時に計算問題が解ける子どもは、中学校に入って方程式を習った後になれば論理的に考えることが十分に出来るようになります。

小学生が算数の文章問題に苦労するのには理由があるのです。その理由を認識しないでこの問題を論じても小学生の苦労の解消にはならないのです。

例えば「お父さんの年齢は太郎君の年齢の3倍」を(お父さんの年齢)=(太郎の年齢)x 3 と表現できることを知るには、数学には方程式というものがあって上の場合には y = 3x と言う式があることを前もって知っていた方が遥かに楽です。

この場合、y = 3x には論理があるわけではなく、そのように書く規則になっているということを機械的に覚えておけば良い。ところが小学生はまだそんな方程式なるものが存在していることすら教わっていない。

だから子どもたちは方程式を経ることなく、いきなり文章を使った「式」を書かなくてはならない。これは、方程式を知っている人に比べて思考回路にかなりの負担がかかります。だから、小学校の算数の文章問題は小学生にとって方程式を教わってしまった大人より難しいのです。

これは、論理的な思考能力がどうのこうのという問題ではなく、方程式と言う機械的な表現法や演算の規則を覚えているかどうかと言う問題なのです。

日本の教育には変なところがあり、何年生になるまで方程式を使って解いてはダメだとか、何年生になるまで、この漢字を使ってはダメだと思い込んでいる学校の先生が多いようです。その結果、先生方は自分では方程式などを頭に描きながら考えているくせに、子供たちにはそれよりも遥かに脳みそに負担のかかる方法で考えろと言っていることに気が付いていないのです。

似た問題は、高校の物理の授業にもあります。物理の問題は微分方程式を使って表現すると、すごく易しくなります。ところが、高校では微分方程式をほとんど教わらないので、上の小学生の算数の文章問題のように、微分方程式を書き下さずに言葉で表現しながら教えます。

その結果、物理の専門家でも何を言っているのか解き明かすのにすごい負担がかかるような表現で高校の物理の教科書が書かれています。一般の学生はともかく、物理学科に入った学生は誰でも一様に「なんで微分方程式の表現法を教えてから物理を教えてくれなかったんだ。そうしてくれたら高校時代にこんなに苦労しなくて済んだのに。」って、文句を言います。

論理的に考えることは重要ですがそのようになるためには、表現法や規則を理屈抜きで(即ち、一々考えることをぜずに)機械的に覚えた後で、その規則を使いながら論理的に考えることができるようになる必要があるのです。

幼児が言葉を覚えるのだって同じです。幼児はその意味など考えることなく、鸚鵡返しに繰り返しているうちにだんだんとそれの意味付けができるようになって来るのです。

方程式を教える前に算数の文章問題を適切に表現できるようになれといっているのは、ある意味、言葉を覚える前に、自分は何を表現しているのか解るようになれと言っているに等しいことを言っているのです。

勉強の仕方について、私がいつも言っていることの好例になっていると思われます。多くの方が間違った勉強の仕方をしているようです。勉強って解ってから先に進むやり方は大変効率が悪いです。それどころか、難しい問題になる程、そのやり方では不可能になって来ます。

世の中、先に行ってやっと解って来ることがほとんどです。今解らなくても、どんどん先に進んで行く。そして振り返ってみると、あのとき全然解らなかったことが、後で見ると簡単に解るようになっている。皆さんはそんな経験をいつもして来たでしょう。

ですから、勉強のコツは、

「解らなくても良いからどんどん先へ進め。ただし前進しているだけではダメだ。前進したら過去を振り返り振り返りと、繰り返しながら輪を描くように前進して行け」です。

これが黄金則です。先に進んでは何度でも戻って来る。これで段々と自分で何をやっているのかが解るようになって来るのです。これって、研究も全く同じで、最先端の科学者の常套手段です。

誤解を恐れずに極端に言うと、

「まだ何も分からない分際で理屈を言うな。黙って言われたことをやれ。そうすれば段々と状況が判ってくる。そして、解るようになってから理屈を言え」

です。ま、「習うより慣れろ」とも言えます。

大人たちの知識って、自分の経験からもう既に自分でも解ってしまったことを、辞書でも引くように再提示している場合がほとんどです。ところが、子供達は研究者と同じで、まだ自分の言っていることがなんだか全く解らないことを解ろうと努力しているのです。

だから、科学の最先端にいる科学者と同じ苦しみと、それが解ったときの喜びを、子供たちは味わっているのです。だから、研究者と同じやり方で子供たちを前進させるように大人たちが手伝ってあげなければならない。それが、上に紹介した黄金則です。

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